コラム - リレーコラム AngelBeats!よもやま話
4月8日(木)
ただいま、第8話のアフレコ中です。
麻枝さんと監督の岸さん、音響監督の飯田さんが、たったひとつのセリフについて、「こうじゃないか?」「いや、そうじゃない!」と熱い議論を交わしています。
いままさに、TKの名言が生まれようとしているこの瞬間、制作の最前線に居合わせることができて、ほんとに幸せです。
改めて、皆様、はじめまして。
アスキー・メディアワークス電撃G’sマガジン編集部の小荒井と申します。
『Angel Beats!』の立ち上げに携わった、弊社・中辻のサポートとして作品に関わるようになり、以降、電撃G’sマガジンにおける『Angel Beats!』関連の記事、コミックの編集を担当しています。
僕がはじめて『Angel Beats!』の会議に出席したのは、2008年の10月2日、場所はアニプレックスの会議室でした。その時までは、この企画について「中辻がKeyさんとアニプレックスさんと組んで何かを企んでいる」くらいの認識だったので、うかがった先で、ゆりっぺのデザイン案や、終盤のプロットについての話が飛び交っているのを目の当たりにして、「こんなに具体的に動いていたのか」と驚いたのを覚えています。
それからTVアニメの放送が始まるまで、約1年半。麻枝さんや鳥羽さんが3年がかりでこの作品を作ってきているわけですから、僕はその制作の後半戦を見てきたことになります。
いまさらですが、僕はいち編集者であって、アニメの制作には関わっていません。それにも関わらず、時に中辻のサポートとして、時に雑誌の取材と称して、この1年半、制作現場の最前線に居座らせてもらっていました。2008年11月末の合宿会議、2008年末から隔週で行われていた脚本会議、そして2009年4月の企画の発表などなど、『Angel Beats!』が出来ていく過程を、一番近くで見ていた“第三者”かもしれません。
ですので、このコラムでは、「第三者として制作現場を見てきて、何を感じたか」を書きたいと思います。とても個人的な感想です。ふだん雑誌の記事なんかでは、なるべく客観性を意識しているので、たまには主観的なことを書いてみたいと思いまして……。一応、お仕事を意識して、最後にちょこっと、G’sマガジンの宣伝もするかもしれません。
僕が制作現場を見ていて抱いた感想は、複雑なんですが、「焦燥感」という言葉が一番近いように思います。麻枝さん、Na-Gaさんをはじめ、経験豊富で才能のある方々が、必死になって全力疾走している姿を見せつけられ、「自分はこれでいいのだろうか」という焦りのようなものを、いつも感じていました。
分かりやすい例ではないかもしれませんが、自分の経験と照らし合わせると、初めて沿道から箱根駅伝を見た時の感覚と似ています。陸上のエリートである選手たち。ふだんから努力を重ねているだろう彼らが、死にそうな顔をしながら、歯を食いしばって、必死に前を向いて走っている。その姿を見て僕は、応援する気持ちとともに、焦りを感じていました。おおげさな言い方かもしれませんが、自分がすごく「人生をサボっている」ように感じたんです。「自分は何かをがんばっているだろうか」と思いました。
1年半、麻枝さんたちを近くで見ていて感じたのは、そんな焦りに近い気持ちでした。富山のPAワークスさんも取材させていただきました。撮影処理のT2studioさんにもお邪魔しました。アフレコも見させてもらっています。どこに行ってもどこを見ても、制作に関わる方々はみなさん、歯を食いしばって目の前の作業に全力を尽くしています。それは僕自身の仕事に対する取り組み方を、見つめ直させるほどに印象的でした。
軽く言ってしまうと「あ、やっぱり仕事って、必死になってがんばらないといけないんだな」ってことに、あらためて気づかされました。とてもいい経験をさせてもらっているな、と思います。
(いや、ふだんからちゃんとがんばってますけどね)
努力が結果に繋がるとは限りませんし、結果が伴わない努力は、なかなかまわりに認められません。だからこそ、この『Angel Beats!』という作品がたくさんの人の心に残り、制作陣の努力が報われたらいいな、と思います。
そして、すべてが終わった時。
もう一度、制作スタッフのみなさんにインタビューがしたいです。
「たいへんだったけど、今はやりきった充実感があります」
そんなコメントが取れたらいいな、と思っています。
最後に宣伝です! 4月30日発売の電撃G’sマガジンでは、『Angel Beats!』のOP、EDを歌うLiaさんと多田葵さんにインタビューをしています。レコーディング秘話や、歌詞にこめられた想いなど、『Angel Beats!』の世界観に繋がる話ももりだくさんなので、お楽しみに!
それから、これはまだどこにも書いてないんですが、電撃G’sマガジンで連載された、麻枝さん書き下ろしのSS「Angel Beats!-Track ZERO-」の単行本を6月末に刊行……するために、今がんばって作っています! 「死んだ世界戦線」の結成までが描かれるTVアニメの前日譚になっているので、これを読んでからアニメを観直すと、より理解が深まること間違いなしです! 今すぐ読みたい! という方は、電撃G’sモバイルという携帯サイトで配信(有料)もしていますので、そちらをチェックしてください!
それでは、ここまで作品を観てきてくださっているみなさん! 『Angel Beats!』は話数を重ねるごとに、パワーアップし、目が離せなくなっていきます。1話も見逃さずについてきてくださいね!
アスキー・メディアワークス 小荒井孝典
※第9回リレーコラムは2010年5月15日に掲載予定です。