コラム - リレーコラム AngelBeats!よもやま話
みなさま、はじめまして。
アスキー・メディアワークスの中辻です。
電撃G’sマガジンで「CLANNAD」以来、Keyさんの担当編集をしておりました(今は、もっと優秀な男が担当しています)。
「光坂」の連載ですとか「リトバス」特集記事など、Keyさんと麻枝さんには
大変お世話になりました。私のお給料の半分以上はKeyさんのおかげだと思ってます。
それで、第1回の鳥羽さんが「Angel Beats!」の馴れ初めを書いているので、 これを受けてG’s編集部サイドから見た「Angel Beats!」の始まりを正直に書きます。
そもそもは、とある会議の席で、G’sのアニメ記事を担当していた編集Aが
「アニプレックスさんの担当者が熱烈な鍵っ子で、麻枝さんと仕事をしたがっている。
ついては編集部に紹介してほしいと頼まれた」と発言したことに始まります。
ちょうど
当時は、『AIR』『Kanon』『CLANNAD』と、Keyさん原作のTVアニメが新しく発表される
たびにどんどん盛り上がり続けていた時期で、編集Aの話を聞いた大方の編集は
「今の人気に便乗しようとしている、誰だか知らないがそいつは、似非かそうでなければ
にわかの自称・鍵っ子に過ぎず、耳障りのいい言葉で私たちの大切なKeyさんや麻枝さんに
近づこうとしているんだろう」とタカを括っていました。とはいえ、無下に断るわけにも
いかないし、とりあえずお話を聞きましょうということになり、お会いしたところ……。
プロデューサー・鳥羽さんのあまりにガチな鍵っ子ぶりに驚愕し、あっという間に意気投合して、
別れ際には「麻枝さんのオリジナル企画をアニプレックスとG’sで絶対に成功させましょう!」
と固い握手を交わしておりましたよ。
そして、すぐに打ち合わせをセッティング。いっしょに大阪へ行き、そこで涙ぐみつつ熱く
麻枝さんに話しかけていた鳥羽さんの様子は、第1回コラムにあるとおりです。横にいた私は、
オリジナル企画がどーのこーのというのは言い訳に過ぎず、この人はただ麻枝さんに会いた
かっただけなのではないか? とさえ思いました。
しかし、企画を断られても直接会えて大満足
だろうし、鍵っ子の夢を1つ叶えてあげることができて、どっちに転んでもG’s編集部っていうか、
オレいいことしたよなあとかぼんやり考えてました。
結果、熱すぎる熱意が通じて、麻枝さんが企画にOKを出してくれて「Angel Beats!」がスタート
したわけです。始まったきっかけは、明らかに鳥羽さんの情熱でした。
しかし、物事は最初のエネルギーだけで完成するわけではありません。それどころか、最初の情熱が
大きい分それぞれが譲れないものも大きく、つまりは理想が高いので、作品という1つの形に整えて
いく作業は、本当に大変でした。まだ途中ですけどね。
まずは何もない状態から、1つの企画を練り上げなければなりません。たくさんのアイデアを話し
合う中で、麻枝さんが最初のひらめきを得て「Angel Beats!」の大本が決まりました。もしかしたら、
ここが「Angel Beats!」のホントの意味での最初だったかもしれません。種ができたあと、これを作品
として育てていく過程で、制作スタジオや監督の選定、予算の獲得、宣伝展開のスケジュール設定など
など、やることはいくらでもありました。通常のアニメ製作にはない気苦労も多く、鳥羽さんは大変
だったのではないでしょうか。
また、編集部としては、麻枝さんをより大きく主張するには、Key作品で活躍しているイラストレーター
によるキャラクターデザインが必須だと考えていましたから、Na-Gaさんにこの仕事を引き受けてもらう
ようお願いするのも最初の段階の大きな難関の1つでした。渋谷のSホテルの会議室で、Na-Gaさんで
キャラデザがいけると決まったときは、とても安心したのと同時に「Angel Beats!」がすごい作品になる
確信めいた予感を覚えました。
そんなこんなで、アニメ制作も順調に進んでいます。G’sマガジンでも、毎号特集記事が組まれ、SS連載も
始まりました。
長年、Keyさんとお仕事をさせていただいた編集の目から見て、「Angel Beats!」は麻枝さんにしか作れない
麻枝さんのアニメに確実になっていると思います。こんなお話やこんなキャラクターやこんなギャグを書く人は、
他にいません。放映前からこんなこと言っちゃって、徹子ばりのムチャぶりで、無駄にハードル上げてますが、
ホント期待していいですよ。
鳥羽さんの情熱で始まったと書きましたが、それもこれも元を正せば、麻枝さんやKeyさんがすばらしい 作品を作ったからこそ、この情熱が生まれたわけです。情熱がより大きな情熱を生んで、今、「Angel Beats!」 が作られています。そして、これを見て楽しんだ人たちの中に生まれた情熱が、さらに大きな何かを生み出して くれるだろうとも信じています。そんな未来を夢見つつ、放映される日を誰よりも楽しみに待っています。
アスキー・メディアワークス 中辻
※第3回リレーコラムは11月15日に掲載予定です。